2020年04月30日

オランダ滞在記(2)ごはんは心の支え編

大屋里佳(東京女子大学大学院博士後期課程)

2020年の3月6日から18日まで、オランダのライデンに滞在しました。めまぐるしく変わっていった状況を、おいしいごはんとともに振り返ります。

3月6日 ハンバーガー

オランダに到着した日の夕食。おなかいっぱいたべて、夜は早寝しました。

3月7日 クロワッサン

ホテルの朝食がとってもおいしい!さくさくのクロワッサン、チーズにキップ、ほかほかのスクランブルエッグ…たべすぎました。

3月8日 パニーニ

研究室メンバーでユトレヒトへ。このあと巨大なティラミスもたべました。

野菜のパニーニ
野菜のパニーニ


3月9日 パスタ

ライデン大学で実験の打ち合わせとセットアップをはじめました。夕食は、私よりも先にライデンで実験を始めていた河原さんと合流して、この前と同じお店でこんどはパスタを。田中先生もパスタ。河原さんはハンバーガー。河原さん、オランダ滞在がとってもたのしいそうで、なんだかいきいきしている!

3月11日 カッテージチーズ

実験のセットアップは順調。オランダは時間になったらすぐ仕事を切り上げる雰囲気があるので、私も早めにホテルに戻ることにしました。日本では夜遅くまで院生室にいるから、なんだか不思議な感じ。

スーパーに寄ったら、カッテージチーズが200gで0.55ユーロ!安い!夕食はこれとサーモンに決定。

3月13日 パンネクック

すごい日でした。まず急に大学から人が消えた。とてもにぎやかだったのに。きのうの首相の会見を受けて、対面授業がこの日からすべて休講になったのです。そうこうするうちに対人の実験が禁止になりました。なんとか続けたいけれど、私の実験では参加者さん同士が接触するので、まず無理だろうなと思いました。私たちの実験(準備)はこれ以上続けられません。あーあ。

河原さんと、気分転換に中華をたべにいこう!とお店に向かうも、なんとお休み。あーあ…。

いつものようにスーパーに寄れば、多くの人が誰かと電話しながらカゴいっぱいに食料を積んでいました。飲みものだけ持ってじっとレジに並んでいたときには、さすがに孤独を感じました。ホテルに戻ったものの気分は晴れないままで、泣きそうになっていたところ、ふとパンネクック(オランダ風のパンケーキ。薄くてもちもちしている)のことを思い出しました。ハンバーガーやパスタをいただいたお店の数軒となりにパンネクックのレストランがあって、田中先生や河原さんとその前を通ったときに、おいしかったよ、行ってみるといいよと教えてもらっていたのです。いましかない、明日には閉まるかもしれないと思って早歩きで向かい、無事にいただくことができました。念願の初パンネクック!一口目をほおばると、もうほんとうにおいしくて、この日の悲しみが一瞬吹き飛びました。たぶんあの瞬間をこの先ずっと忘れないと思います。

りんご,チーズ,ベーコンのパンネクック

りんご,チーズ,ベーコンのパンネクック


3月15日 ワッフル

すさまじい日でした。なんと大学が原則入構禁止になったのです(休日に)。実験室に置いていた機材の回収は?とか、実験者の引継ぎどうしよう!とか、私たちの帰国日程はどうする?とか、とにかく大混乱でした。メールと電話が絶えず飛び交い、お返事をするのに必死で、ごはんをたべるタイミングを逃したので、ストロープワッフルを2枚たべておしまい。

ちなみにこのあと、首相の会見を受けてほぼすべての飲食店が閉まりました。パンネクック、金曜にたべられてよかった…。「明日どうなるかわからない」を地でいく世界。

3月18日 ふたたび、クロワッサン

前日までに実験引継ぎなどできることは済ませて、とうとう帰国日になりました。当初は24日のフライトで帰国する予定だったところを、確実に帰ってこられるよう、18日のフライトに変更していただいたところでした。研究というのは、ほんとうにたくさんの方に支えられてようやく成り立つんだな、とひしひしと感じます(ありがとうございました)。

ホテルの朝食は、週明けから自室でとることになりました。カフェテリアで好きなメニューを盛りつけ、自室に運び、食器類だけ返却する方式です。飲食店は閉まり、ホテルやスーパーには電子レンジもケトルもなかったので、あたたかい食事をとれるのはもはやこの朝食だけでした。この朝食に滞在中何度も支えられたなとしみじみしつつ、滞在最終日だったのでたっぷりと盛りつけ、そーっと自室まで運びました。クロワッサンは3個にしました。

山盛りの朝食

山盛りの朝食



こうして書きながら振り返ってみると、あらためてものすごいスピードで物事が動いていったなと驚きます。そんななか異国にひとりではありましたが、おいしいものに支えられながら、なんとかポジティブに過ごせた気がします。

むしろ帰国してから、先の見えない状況に閉塞感を感じ、人に会えない寂しさに負けそうになっています。

私は触覚の研究をしているので、対人接触ができないこの状況ではこれまで実施してきたような実験を続けられないという意味でも不安を覚えました。しかし、日常的な寂しさに関してはその揺らぎを率直に話してみることで、また研究に関してはこの状況を逆手にとって触覚の役割や意義をあらためて見出すような研究ができないか考えることで、なんとか穏やかに過ごしています。あと、あたたかいごはんを作ってたべることも、とてもとても大事です。

いまは、またみなさまとお会いできる日を心待ちにするばかりです。
posted by 新学術顔身体学 at 00:00| Comment(0) | 顔・身体学通信
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